タイランド太平記

タイの政治、経済、文化、生活等、自分が興味を持ったことを、自分なりに解釈して書いています。

欧米での海外不動産開発の仕事に20年以上携わってきましたが、アーリーリタイアして、タイに住み始めてもう10年目。
タイに興味がある、タイが好き、将来タイに住みたいという人のために、ジャンルを問わず、不動産のこと以外で思ったままのことをこのブログで書いてみることにしました。
光があれば影があるように、タイにだって悪いところはたくさんあります。
その結果、やはり日本の方がいい、他の外国の方がよさそうだ、と思う人もいて当然であり、人それぞれですが、その判断の参考になればと思います。

経済

今回のウィクリートはアジア通貨危機を超えた?

コロナ危機1
ウィクリート・ムアンタイ(タイの危機)はまだまだ続く」に続いて、これも経済危機に関する話題ですが、バンコクでは大手のビューティクリニックが破綻したり、道路わきの屋台までが営業を止めたりと相変わらず状況は悪化しています。

私の住むオンヌットのコンドのすぐ隣、スクムビット79をちょっと入ったところに、いくつものイサーン料理やピザの屋台が中央広場のテーブル席を取り巻くフードコート形式のビアガーデンがあり、地元に住む人たちの隠れ家的なところなので、以前は私もよく通っていたのですが、
ここも閉鎖されたままです。

オンヌットはここ数年、日本人や欧米人の住人が急増していて、このビアガーデンも客の半分近くが地元住人の外国人客で混み合っていたのに、今も閉まったままなのですから、やはり、状況はよくないのだろうと思います。

このあたりに住む欧米人の多くが現地採用の英語教師というのもあると思うのですが、彼らは月収6~7万バーツ程度で15,000~18,000バーツの1ベッドルームを借りて住むのが一般的です。

私のコンドでも1ベッドルームに住む一人住まいの欧米人が多いのですが、以前書いたように、かつて私が通っていたバンコク最大規模のタイ語学校が閉校してしまったのと同じく、英語学校も狭い教室に多くの生徒が集まって大きな声で話すわけですから、今の時期は生徒の数が減って経営環境は決して良くないと思います。

そんなわけで、この辺も失業や減収となった外国人の消費支出が減ってしまった結果、ビアガーデンの経営者も再開を見送っているのかもしれません。

コロナ危機3
さて、今回のコロナ経済危機では、特に製造業部門でアジア通貨危機以上のダメージを受けているとのことで、今年上半期の半年で4,458もの工場が稼働を止めたり閉鎖された結果、340万人が失業したそうです。

さらに、今後失業者はもっと増加し800万人以上にも上るという予測も出ていて、今年だけでなく、来年も経済回復の見通しは立っておらず、まさに泥沼状態です。

人口が6,900万人といわれるタイは農民が多く、これに老人と子供を除いた就業者数はせいぜい3,500~4,000万人ぐらいではないかと思うのですが、そこで800万人もの失業者が出た場合、これはもうとんでもない失業率です。

コロナ危機2
そんな中、政府のBOI(Board of Investment)も、タイの企業就業者全体の78%をも占めるSME(Small and Medium Size Enterprise)、いわゆる中小企業の破綻や廃業を何とか食い止めようとしているのですが、そもそも彼らの仕事は、外国からの投資を呼び込んでタイの企業活動を推進することです。

しかし、一方で
政府は外国人投資家の入国を今も禁止しているのですから、これには無理があります。そんなわけで、これからもますます経済悪化と失業者の増加が続きそうで、本当にアジア通貨危機を超える大不況がやってきつつあるのかもしれません。

従って、全く出口の見えない今のような状況下では、無謀な投資や新規ビジネスのスタートは様子見として、次のチャンスを待った方がよさそうです。

なお、著書では詳しくその経緯を書いていますが、私も2018年10月、不動産市場の悪化を察知して、当時、投資として持っていた4物件の売却に入り、運よく昨年末までにすべて「出口」を終えることができました。

もちろん、その時点でコロナ不況が起こるなど想像もしていませんでしたが、運よく今はキャッシュポジションを高めているので、次の投資チャンスを狙っているところです。

しかし、こんな先の見えない状況下での投資は底値買いとはいえず、ただの無謀でリスクが高いだけの投機でしかないと考えるようになり、次の不動産投資は早くても来年まで見送ろうと思っています。

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またもや延長された非常事態宣言

経済復興1
タイのBOIは上の写真のような経済復興キャンペーンの展開を始めましたが、コロナを制圧できた国として世界から称賛されるだけでなく、経済の復興でも世界をリードする国になろう、というスローガンです。

経済復興2
またも政府の自画自賛かという印象を持ってしまいますが、一方で「ウィクリート・ムアンタイ(タイの危機)はまだまだ続く」で書いたように、中小企業の資金繰りがますます悪くなりつつあります。


そして昨日、タイ政府は非常事態宣言を8月末までさらに延長しました。つい数日前、学生たちによる反政府運動が起こったこともあり、こうなると、集会活動を禁止する非常事態宣言は政府にとって、切り札として是非持っておきたいところだと思います。

しかし、「政治的混乱でタイ経済はまたも悪循環に突入か?」で書いたように、非常事態宣言がある限り、人々の生活への不安と警戒心を触発し、それに伴う消費支出の低迷が続くことになるので、この分ではまだまだ経済回復は程遠い状況です。

最近、失業者は今後500万人にも達するとの予想も出ていて、周辺のASEAN各国に比べても、タイの経済的なダメージは大きいとのことです。

以下はタイ中央銀行の最近のコメントですが、タイ経済の状況は、これからもさらに悪くなっていくような印象を受けます。

The Thai economy is expected to fall further than many in the region this year, with worse to come in the second quarter before it gradually recovers, he said, forecasting the economy could return to pre-Covid-19 levels by the end of next year.
タイ経済は今年、周辺各国に比べても悪化すると予想され、コロナの感染が始まる前の水準に戻るには来年末までかかる。

“The central bank’s biggest concern is employment, because the Covid-19 pandemic has adversely affected the labour market in both the services and manufacturing sectors, where large numbers of workers were laid off,” he said. Even if the pandemic situation improves, many workers may not be able return to work, he warned.
中央銀行が現在もっとも懸念しているのは、コロナによりサービス業と製造業の両セクターで急増しつつある失業者である。しかも、たとえこれからコロナの問題が改善しても、多くの失業者が仕事に戻れない可能性もある。

Meanwhile, Somkiat Tangkitvanich, president of the Thailand Development Research Institute, predicted a rise in the number of poor along with a deterioration of the government’s fiscal position in the next five or six years.
タイランド・デベロップメント・リサーチによれば、政府の財政悪化により、今後5年から6年はタイの貧困層の数が増加すると予想している。

こんなことが中央銀行を始め経済の専門家によって指摘されていて、ちょっと先が読めなくなってきていますが、こういう時はやはり「Cash is King」であり、
下手に事業や投資には手を出さず、今はじっと状況を観察するべきなのかもしれません。

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ウィクリート・ムアンタイ(タイの危機)はまだまだ続く

経済危機1
先日、私がタイに来てから3年以上にわたり、ほとんど毎日通って勉強していたタイ語学校が破綻しました。

UTLといって、生徒数300人以上を誇る、バンコクでも最大級のタイ語学校で、規模が大きいだけに、上級クラスでは毎日の新聞を読んでいくコースや、タイの社会問題を勉強するコースなど、そのカリキュラムは普通の語学学校の域を超えた充実度でした。

ここでタイ語を学んだ日本人も多いと思いますが、私の場合、新聞のクラスは毎日題材が変わることから、20日間、60時間のコースを十回以上も取って勉強したものです。その結果、今はタイ語の新聞も何とか読めるようになったし、特に不動産記事については、ほぼ抵抗なく読めるようになれました。

また、もう1つのブログ「バンコク コンドミニアム物語」でも、このタイ語のおかげでターンセータギットやグルンテープ・トゥーラギットといったタイの経済紙からの情報をよく取り上げています。

ちなみに、最初の著書である「バンコク不動産投資(基礎編)」でも「タイ語って簡単?」という章で、この学校のことやタイ語について書きましたが、それだけに、この学校の破綻には感慨深いものがあります。

経済危機2
さて、先日、プラユット首相が経済回復、特にSME(中小企業)の支援に注力するべく、経済閣僚だけでなく各界のビジネスリーダー等を含めて対策を協議したと書きましたが、現地で見ていると、UTLのような教師を含め従業員が30名ほどの中小ビジネスにとっては、コロナ不況から抜け出す光もまだ見えてないところが多いようです。

タイ人には企業で働くよりも自分で事業をやりたがる傾向があり、どうしても中小が多くなります。これが今、多くの生活困窮者を出す一因にもなっているのですが、例えば、女性の間で人気ナンバー1がヘアサロンの開業です。

この業界はロックダウン解除で1か月以上前に営業再開が認められたにもかかわらず、私の知っているタイ人女性が勤める従業員5人ほどのサロンなどではほとんど客足が戻ってきておらず、とうとう今月いっぱいで店を閉めることになったそうです。

「ラーンタットポム(髪を切る店)」と呼ばれる散髪屋は、美容室と違い男性、女性の需要がコンスタントにあるのでそうでもないようですが、タイのヘアサロンは欧米のようなユニセックスではなく、女性専門です。しかもタイ語で「ラーンサームスアイ(美しさを増す店)」と呼ばれるように、ファッションとしてヘアスタイルを気にする女性が主たる客層であり、ビューティクリニックを含めこういう美容業界全体で、不景気によって顧客の収入が減った結果、客足が遠のいているそうです。

それなりの規模で体力のある企業に勤めるサラリーマンが多い日本社会と違い、個人経営の事業が多いタイでは、こういうところにも経済基盤のもろさがすぐに出てしまいます。

ところで、このコラムのキャプションで使っているタイ語の「ウィクリート」とは、「危機、クライシス」の意味ですが、最近はよく新聞等で見かける言葉なので、覚えておいた方がいいです。

そして今、まさに中小規模のビジネスの多くがこの
ウィクリートのさなかにいるわけです。

私も先ごろまでは、年末には外国人観光客や投資家もタイに戻り始め、来年には不動産市場もやっと底を打ちそうだというのが個人的なガッツフィーリングでした。しかし、タイ政府が今後も今の鎖国状態を続けるということになれば、外国人投資家が戻ってこない不動産業界もまた、暗くて長いトンネルから抜け出せなくなりそうです。

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鎖国か、開国か、今週タイ経済の明暗が決まる?

経済支援1
タイのGDP収縮は世界でワースト3(その2)」の中で、今月10日、プラユット首相は、いよいよタイ経済復興に向けて経済閣僚と協議する予定だと書きました。しかし、首相は急遽それを延期し、代わりに経済閣僚だけでなく、経済アドバイザーやビジネスリーダーを含めた協議を行いました。

ちなみに、今後は政治家だけでなく、民間からの意見をも聴きながら経済の政策運営をしていくことにしたそうで、これがこれからのニューノーマルになるそうです。

一方、8月から開始予定であったトラベルバブルは日本や韓国で第2次波が出てきていることから、延期される公算が大きくなってきました。

ただし、これについては、一部の報道では延期が既に決まったかのように書いているところもありますが、私がThe Nationの記事を読む限りは、交通大臣が今週中に決めるといっているということもあり、まだ決定ではないように思えます。

ところで、「やがてタイ経済の没落が始まる(その2)」で書いたように、タイの工業生産で日系企業は大きな比重を占めます。

そして今、このまま日本人ビジネスマンがタイに行けない状況が続くと、ビジネスに与える影響が非常に大きいことから、日本のビジネスマンの入国を認めるようにとの実質的な圧力がかかっていて、タイ政府としても対策を迫られているようにも見えます。


経済支援2
The move comes after Japanese business people advised the Board of Investment that they want to enter Thailand to run their existing businesses here.
(BOIに対し、タイでの事業を推進するために日本人ビジネスマンを入国させてほしいという
日系企業からの要請に対し、交通省の大臣は今週中に結論を出すと表明)

実際、外国人の入国禁止を続けることによるタイ経済への悪影響は計り知れないものがあり、現地の日系企業への影響だけでなく、観光関連業界や航空業界も赤字にあえいでいるわけですから、経済回復を模索する一方でトラベルバブルは延期、というのは矛盾してもいます。

結局のところ、タイ政府にとってみれば、国民の健康と安全を最優先し、このまま外国人を締め出して鎖国状態を続けるのか、それとも開国してドイツや日本のようにリスクを取ってでも経済回復を支援するのかという分かれ道に来ているのであり、今回、政府がどういう結論を出すかで、今年後半のタイ経済、そして株や不動産市場の行方も見えてくると思います。

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タイのGDP収縮は世界でワースト3(その2)

GDP4
ところで、今週の10日、プラユット首相は経済回復策について経済閣僚たちと協議するようで、政府関係機関も、次第に経済回復に重点を置き始めてはいます。

しかし、経済紙ターンセータギットによれば、今月末に発表される4月~6月の第2四半期GDPは、まさにロックダウンのさなかにあったことから、二桁台の落込みになると予想しています。

その上、これまで行われてきた農家や失業者に対する給付金が7月末で終わることから、8月以降は個人消費が減少し、
7月~9月の第3四半期の経済はもっと悪化するということも指摘していて、当面、景気が上向く兆しがありません。

GDP3
さらに、UNCTADは、観光依存度の大きいタイのような国はワイプアウト(破綻)する可能性があると指摘しています。観光大国でもあるタイの場合、観光収入が世界でもトップクラス、アジアでは中国や日本を抑えてトップの座を維持してきた実績を持つだけに、その落込みがGDPに与える悪影響も大きいのです。

また、彼らによれば、海外旅行の場合、100万ドルの観光収入減は、関連産業への影響も含めると、実質的に200万から300万ドルの国内収入減につながるということです。

GDP6
一方、これに対し、タイ政府も今回の経済対策で旅行産業と個人消費の刺激策として220億バーツを注入する計画のようです。

しかし、そもそも論として、海外からの観光客を早急に受け入れられるようにしなければ、いくら資金援助をしてもあまり効果はないかもしれません。

UNCTAD estimates show that in the worst-affected countries, such as Thailand, Jamaica and Croatia, employment for unskilled workers could drop at double-digit rates even in the most moderate scenario. Meanwhile, in terms of wages for skilled workers, the steepest drops were seen in Thailand (12 per cent), Jamaica (11 per cent) and Croatia (9 per cent) in the most optimistic scenario.
「観光産業に依存するタイでは、
コロナの影響を最も大きく受けた結果、非熟練労働者の雇用が少なくとも二桁台で減少する。一方、熟練労働者の収入も、もっとも楽観的なシナリオでも12%も減ってしまうと予想される」

すなわち、UNCTADによれば、実はタイが今回のコロナの影響により、世界で最も労働者の収入が減ってしまった国だというわけです。

タイに住んでいても、我々日本人にはあまりピンとこないかもしれませんが、GDP収縮で世界ワースト3となってしまったタイです。周りのミドルからロワーミドルクラスのタイ人たちは、本当は収入減にあえいでいるのかもしれません。

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タイのGDP収縮は世界でワースト3(その1)

GDP1
UNCTAD(国連貿易開発会議)の最近の調査によると、コロナの影響でGDPが著しく落ち込むと予想される世界のワースト15か国がこの表です。

ここからわかるのは、タイ経済はGDPの縮小比率だけでなく、金額ベースでの規模収縮でもワースト3に入っていることです。

特に金額ベースでみると、GDPで世界2位、そしてコロナが発生した当事国である中国の半分近い収縮となっていて、国の経済規模でみれば中国以上の大きな経済的影響を被っていることがわかります。

それに対し、なんだかんだいっても日本はマイナスの比率でワースト15位に入ってないし、世界3位の巨大なGDPを持つにもかかわらず、
金額ベースでの落ち込みは307億ドルと中国の3分の1、タイの3分の2以下であり、前回コロナ制圧を自画自賛するタイ政府は韓国と同じ?」で書いたように、ディープ・ナレッジ・グループDeep Knowledge Group)の評価では、コロナをコントロールできている国、世界のトップ5に入るだけのことはあります。

このことから、コロナに対するタイ政府の徹底した非常事態宣言下のロックダウン等が、タイ経済にどれだけ激しい影響を与えたかもわかると思います。

今更ですが、お酒の販売の禁止、夜の外出禁止、デパートやレストラン等の人が集まる場所の閉鎖、そして、いつまでたっても解除されない非常事態宣言等で、国民の消費支出や工場生産が極端に減ってしまいました。ひょっとすると、ちょっと厳格にやり過ぎたのかもしれません。

また、前回、今のタイ政府はコロナ感染を防いだことを自画自賛するものの、その後の経済のレジリエンス、つまり、感染を抑えて国民の安全と健康を維持しながら経済も回復させる国家の舵取りという点では、コロナをうまくコントロールできてないとみられていると書きました。

だから、ディープ・ナレッジ・グループ評価によれば、世界100か国の中で、タイは47位と平均的な国家になってしまっているわけです。

さらに、つい2日前、BOT(タイ中央銀行)が、タイのGDPはこれまでで最悪の8.1%のマイナス成長になりそうだとの報告を出したところですが、このUNCTADの予想では、もっと悪くてマイナス9%です。

コロナ制圧7
一方、先月のIMFの予測がマイナス6.7%でしたが、時間が経過するにつれてますます悲観的になりつつあるのがわかります。

前回、タイがフィリピンやベトナム、インドネシアといったアセアンの他の国々にGDPで追い抜かれてしまうのではないかと、タイの知識層は危惧していると書きましたが、タイGDPの大幅収縮、言い換えれば経済成長の後戻りで世界のワースト3に入っているこの表を見ると、本当にそうなるのかもという気もしてきます。

次回に続く

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やがてタイ経済の没落が始まる(その3)

タイの没落5
บริษัทญี่ปุ่นย้ายฐานจากไทย สัญญาณฉิบหายของชาติ

(日本企業が生産基地をタイから移すということは、タイ経済没落の始まりのシグナルでもある)

1.タイにとって日本がいればこれからも経済成長が可能である。しかし今、日本企業はタイから去ろうとしている。これはこの先、タイが経済でベトナムやインドネシアにも追いつかれ、やがて追い越されていくことになるかもしれない悪い前兆なのである。

2.特に、日本の自動車産業が生産基地をタイから海外に移転した場合、これまでそこにパーツや資材を提供していた周辺産業も崩壊することになり、タイ経済全体にとって大きな影響が出る。

3.そして、日本企業がタイから去ってしまった場合、タイでも韓国や台湾、中国で育ったような自国ブランドの国際企業が育つだろうか?

4.それができなければ、タイは過去に
韓国や台湾、マレーシア、シンガポールに経済で追い越されたように、やがてフィリピン、インドネシア、ベトナムにも追い抜かれてしまうという恐ろしいことが起こるのである。

5.
6 ปีมานี้ของบิ๊กตู่ที่ประเทศญี่ปุ่น เกาหลีพาเหรดกันไปประเทศอื่นถือเป็นความสูญเสียของไทยจริงๆ ビッグトゥ(プラユット首相)が政権を握ってからの6年間で、
日本や韓国の多くの企業がタイ以外のほかの国に工場進出していったが、これはタイにとって非常に大きな損失なのである。

以上が彼らのコメントの概要ですが、確かに韓国のサムスンやLG、中国のフアウェイや台湾のエイスース等、こういった国では多くの国際企業が自国で育ち、経済成長のベースになっています。

しかし、タイの国民はあまり起業家精神やビジネスに対する野心がないのかもしれません。日本企業が去ったあと、タイに自力でハイテクの工業分野で国際企業を育てる風土があるかといえば、それは難しいということを彼らも知っているのだろうと思います。

ところで、かつてキャノンが中国で工場を持っていたころ、中国人にすぐに最新のハイテク技術を盗まれてしまうので、当時の御手洗社長の英断で、工場をたたんで中国から撤退したということがありました。

一方、タイ人はそういう裏切り行為をせずに働いてくれるので、日本企業にとっても信用できるパートナーだと聞いたことがあります。

いずれにせよ、タイにとって日本企業の存在はこれからも重要であり、よきパートナー同士でもあるのですが、今後もタイバーツ高が進むとなると、残念ながら日本企業の海外移転の流れは止まらないのではないかとも思うのです。

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やがてタイ経済の没落が始まる(その2)

タイの没落4
さて、これがAREAの過去30日間で最も多く読まれたコラムのランキングですが、日本企業がタイから出ていくことのタイ経済への影響について書いたこのコラムが1位となっています。

基本的にAREAは専門的なことを書く研究所であり、私も著書や自分の不動産ブログでよく彼らの調査結果やレポートを引用するのですが、タイ人の間では経済やビジネスに十分なベースがある知識人が主な読者です。また、新聞にもよくそのレポートが取り上げられます。

そういうことを考慮すると、このコラムが5月27日にアップされたにも関わらず、今も1位の座を占めているということは、多くのタイの知識人やビジネスマンが、この記事に注目しているということでもあります。

ところで、実は彼らのコラムは2部構成になっていて、5月27日と6月16日の2回に分かれています。そこで、この2つをまとめた形でその概要を、以下に訳してみます。

เศรษฐกิจไทยถึงเวลาจมดิ่งแล้ว(没落の時が来たタイ経済)

1.1985年9月22日のプラザ合意により、日本企業は海外へ生産拠点をシフトし始めた。そのターゲットとなったのがアセアンであり、中でも特にその恩恵を受けたのが、当時、政治的に安定していたタイである。

タイの没落2
2.その結果、タイは高度の経済成長を遂げられた。日本からの巨額の投資でタイの工業生産は急拡大し、3年後の仏歴2521年(1988年)には、タイのGDPにおける工業生産が、それまで1位であった農業生産を超えたのである。このことは言い換えれば、日本がいたからタイは工業国としてここまで成長できたのである。

3.しかし、それから30年経った今、その日本企業がタイから去ろうとしている。パナソニックはベトナムに去ったし、シャープはインドネシアに移った。

4.そして、タイがアジアのデトロイトと呼ばれるようになったのは、日本の自動車産業がいたからである。トヨタ、ホンダ、ニッサン、マツダ、イスズといった日系企業がタイに工場を置き、2018年には216万台もの車が生産され、その約半分が輸出されている。

5.この巨大産業が今、徐々にタイから去ろうとしている。その理由はタイの人件費が高いからではない。タイバーツが高すぎるからである。そしてこれは、タイ中央銀行とタイ軍事政権の愚策の結果である。このままでは、タイもかつてのアルゼンチンやブラジルと同じ轍を踏むことになってしまうのである。

次回に続く

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やがてタイ経済の没落が始まる(その1)

タイの没落1
先日、不動産市場の大手リサーチ会社であるAREAが、没落の危機にあるタイ経済とそれに伴う不動産市場の行方についてセミナーを行いました。

不動産市場のことについては、私の別のブログ「バンコク コンドミニアム物語」で扱うことにしているので、ここではタイの経済的な地位がこれから没落していくという彼らの危機感について紹介してみます。

実は昨年12月にも、止まらないタイバーツの独歩高に対して上のような新聞記事が出ていました。この調子でバーツ高が続けば、アジアのデトロイトとまで呼ばれているタイから日系自動車メーカーが次々と生産基地をほかのアセアン諸国に移してしまい、やがて近い将来、タイ経済は没落するのではないかと危惧されていたわけです。

しかしその後、世界経済の不透明感が広がったことから、新興国から米国へのドルの還流が始まり、バーツ高にストップがかかりました。

さらに、その後のコロナの影響によるロックダウンでバーツ安となり、自動車産業も工場閉鎖に追い込まれて工場移転どころではなくなってしまい、しばらくこの問題は忘れ去られていました。

タイバーツ2
ところがここにきて、つい先日も「コロナを制して再び独歩高を始めたタイバーツ(その2)」で書いたように、4月以降、またもや急激なタイバーツの独歩高が始まっています。

タイの没落3
それに合わせて、先月末、AREAが日本企業の工場シフトとそれに伴うタイ経済の没落危機について、改めてこの問題を指摘したものです。

そして、最後にこう結んでいます。

 6 ปีมานี้ของบิ๊กตู่ที่ประเทศญี่ปุ่น เกาหลีพาเหรดกันไปประเทศอื่นถือเป็นความสูญเสียของไทยจริงๆ
ビッグトゥ(プラユット首相)が政権を握ってからの6年間で、日本や韓国の多くの企業がタイ以外のほかの国に工場進出していった。そして、これはタイにとって非常に大きな損失なのである。

ちょっと意味深であり、この責任は現政権の政治的、経済的な愚策にある、といっているようにも取れるのですが...。

いずれにせよ、この内容は非常に興味深いもので、今のアッパーミドルクラス以上のタイ人知識層が、日本企業の動向に対してどう考えているか、ということを理解するのにも参考になると思います。

次回に続く

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コロナを制して再び独歩高を始めたタイバーツ(その2)

タイバーツ2
前回、「コロナを制して再び独歩高を始めたタイバーツ」の中で、タイバーツの独歩高がまた始まったのではないかということを書きましたが、あれから約2週間が経ち、このグラフを見てもわかるように当時の31.66からバーツ高がさらに加速しています。

以前このブログでも、1ドルが31バーツに近づくにつれて、バーツは実力以上に買われていると思うので、私個人は少しづつ米ドルに換えている、と書きました。

実際には、その交換した米ドルをカンボジアに送金し、高利回りのドル預金で運用しているのですが、この方が下手なバンコクCBDでのコンドミニアム投資より、利回りが高くなります。

しかも、著書でも書いたように、今の不動産市場は「待つも相場、休むも相場なり」の状況です。それならば、キャピタルロスや空室リスクといった不動産特有のマーケットリスクからしばらく離れて、5%以上の確定利回りがある米ドル定期預金で運用する方が魅力があります。

それに、カンボジアの方がタイよりちょっとカントリーリスクが大きいこと以外、この定期預金は「出口」リスクも小さく、バンコクでよほどの底値物件でも見つからない限り、無理に不動産投資をする時期ではないと思っていたからです。

しかし、その後、コロナ危機で一挙に1ドルが33バーツにまで戻ったので一旦中断し、しばらく様子見をしていたところです。それが、今朝の時点で30.985と、またも31バーツを割り込んできました。

こうなると、昨年末までにすべて売却できたバンコク投資用不動産の売却代金がまだかなり残っているので、そろそろまた米ドル買いを始めようかと考えているところです。


タイバーツ1
タイの新聞でも先日、上のようなカシコンリサーチの記事を載せていましたが、これによれば、エネルギーとエアラインがバーツ高の恩恵を受けるとのことです。

しかし、タイが今やろうとしている、コロナのコントロールに成功している中国や日本、韓国との間だけで観光客の入出国を認め合おうという相互協定、“トラベル・バブル”プランにとっては、タイバーツの独歩高はアゲインストです。

また、同様に不動産を含む外国人による投資にもマイナス効果となります。
現在のバーツ高はヘイブンカレンシー、つまり避難通貨として買われているので、中長期で資金が寝てしまう不動産市場にはあまり流れないのに、為替レートだけが投資家に不利に作用するからです。

タイ経済自体はよくないものの、コロナをうまく制圧できていることから一時的非難の安全通貨として買われているわけで、今後、世界でコロナの危機が落ち着いてくるにつれて、やがて他の国へと向かう可能性も高いと思うのです。

逆にいえば、今だけ
一時避難しているのであれば、今のうちにこのバーツ高メリットを享受して手持ちのバーツを米ドルに換えるチャンスだと、私個人は思っているわけです。

タイバーツ3
一方、中長期資金が使われる不動産市場にとって、為替レート変動の影響は大きく、昨年、中国人投資家の勢いが低迷することになった一つの要因が、一挙に進んだバーツ高人民元安だったのですが、上のグラフを見てもわかるように、4月以降、これがまた起こりつつあります。

そうなると、タイの不動産業界が期待している、年末あたりには中国人投資家が市場に再び戻ってきてまた買い始めるという筋書きにも修正が必要になるかもしれません。

タイバーツ4
一方、日本円に関しては、今のところ、まだそれほどバーツ高にはなっていません。日本円も安全通貨として買われる側面があるので、こうなっているのだろうと思いますが、それでもこれ以上バーツ高が進行してしまうと、日本からの投資や観光客も影響を受けることになりそうです。

いずれにせよ、このタイバーツの独歩高にはいいことがほとんどないので、今後も要注意です。

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コロナを制して再び独歩高を始めたタイバーツ(その1)

ドルバーツ
これが今朝の米ドルとタイバーツのレートで、1ドルは31.66バーツです。

昨年1年間続いたバーツ高により、タイバーツはブルームバーグからアジアで最もパフォーマンスの高かった通貨と称され、世界の機関投資家や富裕層によってヘイブンカレンシーとして買われていました。

その理由が、タイの経済自体はむしろ低迷していたにも関わらず、
これだけバーツ高になっても続く貿易黒字と巨額の観光収入であり、外国人投資家にしてみれば安全な避難通貨と見えたからでした。

これは、私のもう一つのブログ、「バンコク コンドミニアム物語」の中で、「まだまだ続くタイバーツの独歩高?(その2)」と題して、まだコロナウイルスの問題が大きくなってない頃、カシコン経済研究所のコメントを引用し、タイバーツは2020年もさらに高くなるという予想を紹介しました。

ところが、実際には昨年12月がバーツ高のピークとなり、今年2月以降はコロナの影響による経済不安と新興国からのドル資金引き上げの波にのまれて、短期間で一気に2019年初頭のバーツ高が始まったころのレベルまでドル高バーツ安が進んだのがわかります。

しかし、4月以降は再びバーツ高が始まり、ここにきてタイバーツ復活の傾向が明らかになっています。

円バーツ
また、これは日本円に対しても同じで、円安バーツ高傾向になってきていて、世界の主要通貨に対するタイバーツの独歩高が再び始まったように思えます。

この理由は、タイがほかの国に比べていち速くコロナの感染拡大を抑えられたこと、香港やフィリピンといった周辺諸国だけでなく、これから世界的な食糧難が予想される中、コメをはじめとする食料品輸出が伸びていること、そして、タイの観光産業にはそう遠くない将来、観光客が戻ってくると予測する調査機関もあって、タイバーツが再び買われているようです。

すなわち、昨年、カシコン銀行が予測していたシナリオに再び戻ってきつつあるということだと思います。

人民元長期推移
これは、不動産業界にとっては、外国人投資家を遠ざけてしまうのであまりありがたくないのですが、同様に、外国人観光客へも悪影響を与えます。

特に中国人にとって、昨年末はリーマンショック以降、最大の人民元安バーツ高となったため、2016年から増加してきた中国人投資家の不動産購入に急ブレーキがかかり、既に購入されていた新築不動産のキャンセルも相次ぐことになりました。

しかし今、タイの不動産業界と観光業界が市場回復に一番期待しているのが、中国人バイヤーであり、中国人観光客です。特に不動産業界などは、近い将来、中国人投資家が戻ってくることを前提に、ロケーションのいい物件や眺望のいい角部屋等の人気物件を売らないで温存しているという話も聞こえてきます。

しかし、年初のカシコン銀行予想通り、今後1ドルが30バーツの壁を突き破ってさらにバーツ高となるようなことになれば、すぐに以前のように中国人投資家や観光客が戻ってくるというのは難しいはずです。

タイバーツが再びヘイブンカレンシーとして世界の投資家から買われるのか、今後の為替相場からは目が離せません。

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タイ航空の再建はまだ道半ば(その2)

タイ航空破綻2
さて、前回から3日ほど経ち、その間にも進展があったので、それも含めて書いています。なお、タイ航空の問題についてあまり知らない人は「誰がタイ航空をこんなにした?」で2回にわたり解説しているので読んでみてください。

まず、これが現在のタイ航空の財務内容です。コロナウイルスのロックダウンによるこの数か月の空港閉鎖で、ほとんどの便が欠航になったことで収入が途絶えました。その上、労働組合が強いこともあって従業員を解雇できないため、この半期だけで181億バーツ(約600億円)もの赤字となる予定です。

その結果、資本の部がマイナスに転落し、とうとう債務超過状態となります。すなわち、のれん代や含み益といった目に見えない資産価値を除いたバランスシート上の企業価値はゼロということです。

これを会社更生法で再建しようというわけですが、不動産会社やホテルなどはビルや土地の含みがあるので、会社再建の足掛かりにもなりますが、国営航空会社が不動産投資をしているとは思えません。

先日、破産したレナウンなどは業歴も長いので、もしかすれば、不動産も保有していて担保余力があるかもしれませんが、タイ航空は飛行機も全部リースで、大きな資産価値のあるものはほとんどありません。

これで会社再建といっても、前回書いたように和議や民事再生と違って
更生の場合は、会社再建の計画に債権者の合意が必要です。

さらに、昨日、偶然
パキスタン航空の旧型航空機、エアバスA320がカラチ市の住宅街に墜落しましたが、誰がタイ航空をこんなにした?(その2)」で海外のアナリストが指摘しているように、タイ航空もいまだに同じA320やA340という、安全性でA380のような新型機に及ばない旧型機を使っています。

従って、早急に新型機種への更新が必要ですが、そのためにはさらに大きな資金が必要になると同時に、それを整備できるだけの技術の習得も必要という課題もあります。


今のところ、海外の債権者は破産裁判所による会社更生に賛同しているということなので、とりあえずは前に進みそうですが、こういった課題が多いだけに、実際の再建計画が出た時点で反対するところが出てくる可能性は大いにあると思っています。

いずれにせよ、政府が持つタイ航空の発行済株式のうち、3.17%が既に第三者のファンドに譲渡され、タイ航空は民間企業へと移行し、会社再建に向けて動き始めました。

タイ航空
次に、2万人ほどいる従業員の3割を解雇することになりそうですが、同時に、硬直した人事制度の見直しをすることも必須です。

これについては、労働組合も当初は民営化には反対していましたが、結局、会社が倒産してしまえば、元も子もなくなるので、民営化と従業員の解雇や労働組合解散に同意しつつあるようです。

今の時点ではこんな状況ですが、タイ航空はすでに78億バーツもの資金ショートを起こしているわけですから、一刻も速く再建プランを策定し、裁判所と債権者に承認してもらう必要があります。

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タイ航空の再建はまだ道半ば(その1)

タイ航空破綻1
昨日、内閣は
ศาลล้มละลาย(破産裁判所)に対してタイ航空の再建を申請するという結論に至りました。

これは日本の「会社更生」法
に近いものだと思いますが、裁判所に任命された管財人がタイ航空の再建を行うというものです。

ただし、申請したからといって裁判所が単純に引き受けるものではなく、
タイ航空の会社再建計画や負債状況などの詳細をチェックした後、再生をする価値があると認めてもらえなければなりません。

もし、タイ航空が粉飾決算や不正な会計処理を行っていることなどがわかれば受理されず、そのまま倒産という場合もあります。

それに、海外の債権者も多いのでアメリカのチャプターイレブン申請も考えているようですが、これまでタイ航空は国営だから潰れないと信用してきた海外の債権者にしてみれば、裏切られたような気もするかもしれません。従って、簡単に再建計画に同意するかどうかもわかりません。

このように、会社の再建に乗り出すには、上の図にあるように、再建計画を裁判所と債権者に承認してもらわなければならず、タイ航空にとってはこれから2つ難関が控えているわけです。

ところで、私もずいぶん昔のことですが、不動産業界に転職する前に金融機関で働いていたことがあります。その頃の日本には「和議」法という非常に債権者にとって不利な法律があり、倒産した債務者にこれを申請されて受理されてしまうと、債権者は手が出せなくなったものでした。

今はそれがあまりに債務者を保護し過ぎるということで「和議」はなくなり、代わりに「民事再生」法というのができていますが、それでもこれは、既存の無能な経営陣がそのまま会社の再生を任されるというものであり、債権者にとっては不利な法律です。

しかし、今回の決定が日本の会社更生法に相当するものであれば、タイ航空にとっては、「誰がタイ航空をこんなにした?」で2回にわたって書いたように、政治家や軍人を中心とする官僚の利権を断ち切ることができると思います。

それともう一つ、これまで会社経営のネックといわれてきた労働組合の問題がありました。これまでタイ航空の株式の51%を持つのがタイ政府ということもあり、タイ語でいう「カーラチャガン」、つまり、公務員と同じ法律が適用されていて、従業員の人員整理や解雇ができませんでした。

しかし、今回の会社更生ではタイ政府の持ち分を2%落とし、49%にするということのようです。それであれば、タイ航空は民間企業となり、管財人は不要な従業員の整理ができるし、非効率な人事が指摘されてきたタイ航空の人件費削減も可能となります。

ただし、この民営化に対しては、労働組合がその既得権を失いたくないので猛烈に反対しているようです。

次回に続く

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タイ航空を救え?

タイ航空
昨日、民間エアラインのノックエアのことを書いたばかりですが、実は今日、プラユット首相を議長として、タイ航空を生かすか殺すかについての会議が開かれました。

再生計画
タイ航空はかつての日本航空と同じで、人件費も高く経営効率が悪いので毎年赤字のエアラインです。また、かつての日本の都銀のようにエリート意識ばかり強い
バンコク銀行、そして、タイ航空も国営のナショナルフラッグキャリアとしてのエリート意識が強いのか、あまりタイ人一般庶民からは好かれていないようです。

コロナ12
それに、
親方日の丸、というか、親方タイ政府ということもあって、コスト意識があまりなく、毎年赤字で、つい最近まで、今回のコロナ騒動でこの絵のようにいよいよ倒産かと危ぶまれていたのです。

その放漫経営ぶりは、観光立国タイにありながら、2017年に21億バーツ(70億円)の赤字、2018年にはさらに赤字が広がり116億バーツ(380億円)、そして2019年は120億バーツ(400億円)と手がつけられない赤字体質で、外部からはもう潰してしまえという声も出ていました。

しかし、さすがに国営のフルサービス・ナショナル・フラッグキャリアは潰せないということで、結局、今日の会議の結果、財務省が保証をつけることで追加融資を受けると決まったそうです。

そもそも、1企業に国が債務保証を入れるというのも異例ですが、ただし、これには条件が付いていて、 「今の経営陣は使えない」ということで、マネージメントは外部のプロを入れて再生を図るということになったそうです。

昨年、4,000万人もの外国人観光客がタイにやってきて、他のエアラインにとってはドル箱ともいえるタイ路線の中心的存在でありながら、それでも赤字を出し続けたタイ航空は、抜本的な大手術が必要だと素人にもわかります。

なんか、昔、どうしようもなくなった日本航空の救世主として、京都セラミックが再生を引き受けたのとどこか似ていますが、今のタイ航空はぬるま湯の中でずっと赤字を垂れ流してきたわけだから、プラユット首相も、これではダメだと外部の経営を導入することにしたのだろうと思います。

観光収入1
私は個人的にはタイ航空はあまり好きではないエアラインなのですが、なんだかんだいっても、世界4位の観光収入を誇っていたタイに、ナショナルフラッッグ・キャリアがないというのも問題なので、やはり助けるしかないのだろうと思います。

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3カ月後に襲う世界的食糧難こそタイ経済復活の鍵(その2)

政府支援
ところで先日、我々は誰も見捨てない」の中で、タイ政府のスローガンである、"เราไม่ทิ้งกัน (ラオマイティンガン)"のことを紹介しました。

実はこれ、訳す時に主語が政府なのか、それともタイ人全体なのか迷ったので、とりあえず”我々”ということで、曖昧なままにしておいたものです。


その後、英字紙のThe Nationが「You will never be left behind.」と訳していたので、あなたは絶対に置き去りにされたりしない、というところは同じですが、これもやはり、誰が助けるのか主語がはっきりしませんでした。

しかし、先日、別の新聞で、"คนไทยไม่ทิ้งกัน コンタイマイティンガン)"、つまり、「我々タイ人は誰も見捨てたりしない」と書いていたので、主語は政府でなくタイ人であり、国民が一致団結して助け合おうというスローガンだとやっとわかりました。

それにしても、日本の場合、30万円だとか10万円だとか金額だけが先行し、それに対し野党がことあるごとに反対したりでさっぱり決まりませんが、その本来の目的をはっきりさせるためにも、まず最初にこういうスローガンがあるともう少し前に進むかもしれません。

食糧難はチャンス
さて、話を戻すと、政府は今、農業などの第一次産業に対しては6カ月間、計30,000バーツを援助することも検討しているそうです。

その理由は、1,328万世帯が農林水産業に従事するタイにとって、これらは国の基礎産業であり、コロナで苦しいこのときに支援しておいて、これからやってくる世界的な食糧危機で、農産品を輸出してタイ経済を回復させようというものです。

実は既に国連機関の
FAO(Food and Agriculture Organization)、WHO(World Health Organization)、そしてWTO(World Trade Organization)などが、これから3ヵ月は世界的な食糧危機がやってくる。しかも、自給自足ができていない国ほど厳しい食糧難に陥ると警告を出しているそうです。

それに対し、タイは世界12位の食糧輸出国であり、アジアでは中国に次いで2位と食糧危機は大きなビジネスチャンスとなるわけです。

農家の支援
しかも、コロナのダメージが大きい中国やアメリカなどの他の食料輸出国に比べて、タイの農林水産業はそれほど影響を受けていない(その代わり、観光立国でもあるタイは観光業界がボロボロ)ことから、食糧輸出で観光業界や製造業のダメージを和らげ、これからの経済回復の突破口にしようと、タイ政府は考えているわけです。

それもあって、タイ政府は"ラオマイティンガン
"の政策で、今は困っている農業や水産業に従事する人を6カ月間サポートし、やがて来るビジネスチャンスに備えようとしているとのことで、これを読んで私などは、なるほどと感心しました。

米価高騰

そして実は今、米の値段が高騰を始めていて、既に昨年比で2割以上値上りし、この10年間で最高値になったということです。さらに、これから食糧危機が深刻になるにつれて、もっと値上りすると予想されています。

ところで、
タイ語でチャウナーと呼ばれるイサーン(東北地方)などの農民は、これまでヤークジョン(貧乏人)とも呼ばれて、所得格差の大きいタイにあって、いつも社会の底辺で低所得に泣かされてきたわけです。

しかし、今年はコロナによる世界的食糧不足のおかげで、農産品や養殖のエビなどの1次産品が軒並み値上りし、今はまだ苦しいかもしれませんが、もう少しするとその輸出で久々に潤うことになりそうです。

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3カ月後に襲う世界的食糧難こそタイ経済復活の鍵(その1)

コロナ感染者数
3月26日に出されたタイの非常事態宣言とロックダウンから1カ月も経っていませんが、最近はコロナ感染者数も減少傾向にあり、うまくコントロールできているようです。

1月初め、世界で中国以外で最初に感染者を出したのがタイなのですが、今は上のグラフにあるように、現在の累積感染者数は50位と、欧米諸国に比べて圧倒的に少ない数です。

また、昨日の段階では、下の図にあるように、世界の累積感染者数で51番目と、さらに順位が下がってきています。陰性になった
治癒回復者数も1,593人と増加中で、あとはこの累積感染者数と治癒者数の間隔がゼロになれば、最終的に感染者がいなくなるわけです。

感染者速報1
もっとも、それはしばらく無理にしても、縮小傾向にあるということは、うまく感染がコントロールできているということであり、心配していたソンクラーンのお祭りで一挙に感染爆発するのではないかという危惧も薄れつつあります。

そして、一昨日、プラユット首相は4月最終週の状況を見て、徐々にロックダウンを解除していけるか決断すると発表しました。


ロックダウン解除
4月16日時点での累積感染者数は2,672人で、しかも昨日の新規感染者は29人(30人との報告もある)と、道を歩いていて交通事故に会う確率の方が高いくらいの状態になってきたわけで、確かに5月から規制緩和が始まりそうです。

そこで注目されるのは、これから確実にやってくるコロナによる世界的な経済不況に対し、各国政府がどんな対策を練っていくかですが、実はタイ政府が不況脱却の戦略として考えていることが、非常に興味深いのです。

これはまさに"災い転じて福となす"の戦略であり、今回のコロナでタイは中国以外で最初に感染者を出したものの、ピークを脱したと思われる今になってみると、他の国に比べれば感染者も少なく、ロックダウンの期間も短くて失業の問題や経済的影響も小さいという、大きな強みがあるわけです。

一方、まだまだコロナと戦っている欧米先進国の場合、今後の経済立て直しのことを考えている余裕はありません。

それどころか、このままでは、あと3カ月もすると世界は食料危機になると、多くの国際機関が指摘するようになっていて、実は世界屈指の農産物の輸出国でもあるタイにとって、これこそ経済不況脱却のまたとないチャンスが巡ってきているというのです。

次回に続く


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藤澤愼二 ฟุจิซาวะ ชินจิ

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